小学生の時に、ＮＨＫで「空中都市００８」という、21世紀を舞台にしたＳＦものの人形劇をやっていた。一度その番組で、未来都市だか、未来建築だかのアイデアを募集したことがあって、応募したら、優秀作と違って、劇中で採用される事はなかったが、佳作として番組の最後に紹介された。
「キノコタワー」という、名前そのままのキノコ型のタワーに、螺旋状のチューブ式エレベーターが巻きついているという、いかにも子供が考えそうな、実現不可能そうなデザインの建物である。
1960年代の終りから70年代初めぐらいにやっていた番組である。その頃は、21世紀なんてまだまだ遠い、それこそ、本当に「未来」の話だった。その頃には、キノコタワーみたいな、60年代当時では考えられないような奇抜なデザインの建物が林立して、自動車は空を飛ぶようになるのだと思っていた。言うまでもなく、実際に21世紀になったところで、キノコのようなタワーは林立していないし、車は相変わらず地上を走っている。

大学生の頃に、40歳を過ぎた自分というものを想像してみた事がある。とっくに結婚して、子供の二人もいて、音楽にしても、本にしても、雑誌にしても、歳相応のものを聴いたり、読んだりしているのだろうと思っていた。実際には、結婚もしていなければ、当然子供もおらず、聴いている音楽も、読んでいる本も雑誌も、当時と大して変わっていない。
世の中も、ヒトも、変化を促すような何か劇的な出来事がないと、大して変わらないものらしい。
閑話休題。
今日、杉並の方で、ちょっとだけ迷子になった。朝から何も取り立ててすることがなく、かといって一日中部屋に閉じこもっているのも不健康なので、午後になって、特にアテもなく、杉並方面に向かって歩き出してみた。
調子に乗って、吉祥寺まで歩いてみるか、と思ったが、途中から何だか妙にしんどくなってきたので、阿佐ヶ谷のあたりで引き返すことにした。今日は、今まで歩いた事がないコースを歩いていたので、軌道修正をして見知った道に出ようとしたところ、方向感覚が狂ってしまって、全然知らない場所に出た。
「中野区鷺宮」
中野区？杉並を歩いていた筈が、なんでまた、中野区に？さらに歩くと井草というところに出た。おおむねこっちの方だろうと、適当にあたりをつけて更に歩いていくと、井荻という駅の前に出た。さっぱり分からん。これ以上、迷うのはかなわんので、持っていたＰＨＳで地図を見てみる。というか、最初からそうしろという話か。荻窪駅の方向が分かったので、荻窪の駅まで歩き、中央線で帰ってきた。
そんな。ちょっとだけ迷子になった日曜日の午後。