ウンコを拭いたらサヨウナラ?

昨日とは打って変わって良い天気なので、もう一度上野公園にトライしてみる。しかし、日曜日、しかも昼近いとあってかなりの人出。またちょっとイライラする。
「粛清せよ」と声が聞こえる。頭の中で。
「粛清せよ」「奴らを粛清せよ」
右腕を斜め前方に突き出した大群衆の図が頭に浮かぶ。「俺が政権を取ったその暁には」
「一般大衆どもは」
いやいや、これはノイズだ。こんなものに耳を傾けてはならない。危険だ。
頭の中のノイズを押さえ込むのには成功したが、今度はウンコがしたくなってきた。トイレはどこだ。


せっかっく押さえ込んだノイズがまた頭をもたげる。「奴らだ、奴ら一般大衆どもの、あの有象無象どものせいで、俺は今便意を催しているのだ。やはり粛清だ。粛清せよ。奴らを粛清せよ。」じーくはいる。
便意を我慢してヨタヨタと歩く。トイレはほどなく見つかった。がしかし、あろうことかトイレットペーパーが見当たらない。公園備え付けの公衆トイレなので無理も無いのだが、そんな理性的な考えなど、ウンコがしたいという基本的な生理的欲求の前には何の意味も無い。またノイズが頭の中で金切り声を上げる。
「粛清だ!トイレットペーパーひとつ備えぬトイレなど焼き討ちにしろ!!」
そうはいっても無いものは無い。しょうがないので、非常手段として、いつも俺が財布の中に溜め込んでいるレシート類を使う事にする。固くて小さな紙切れだが、そんなことは言ってはいられない。背に腹は換えられない。少々ケツが痛いがそんな事は言ってはいられない。背に腹は換えられないのだ。はみ出して手につく可能性も(中略)
ブピパペポと下痢気味に用を足してほっとして気が緩んだのか、さてレシートで、これこのようにとウンコを拭いた手元を見て血の気が引いた。それはレシートではなく、手の切れそうな一万円の新札。
あああ、これどうしよう、こんな不浄な一万円札はもう使えないかしら。ウンコを拭いたらサヨウナラ?泣く泣く水に流すしかないのかしら。
いやいや、待て待て、こんなものはお前、そ知らぬ顔をして乾かして、表面をさっと拭いたら普通に買い物に使えば良いのだ。ウンコが付いているぐらいでは、買い物に何の支障も無かろう。むしろ俺のウンコということで付加価値が付いても良いぐらいのものだ。そうしましょうそうしましょうと言いました。
手の切れそうな新札。手が切れるぐらいだから当然ケツも切れる。痛いが、そんなことは言ってはいられない。背に腹は換えられないのだ。
その後は、不忍池の蓮の群生に感心したり、浅草まで足を伸ばして浅草寺に行ったり、秋葉原で電器屋をひやかしてみたり。どこも人が多いので、ちょっとイライラして、時々ノイズが聞こえて閉口するが、天気が良いので基本的にはニヤニヤな一日。
そして、ケツは痛いが、そんなことは言ってはいられない。背に腹は換えられないのだ。

地雷を踏んだらサヨウナラ
4061834347 一ノ瀬 泰造

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