メトセラの子ら

この季節、ここ数年困っているのは、身体が痒くなることだ。乾燥肌という奴だ。特に痒いのは、足首、太もも、それに腕。最近は、こころなしか首や顔まで痒いような気がする。
歳を取ると、あちこちにガタが来る。俺の場合、一番最初に来たのは「腰」だった。
5,6年ほど前、高いところに置いてある物を取ろうとして、腰を伸ばした途端にズキンときた。あたたたたた、と、そのままの姿勢で動けなくなった。なんとかゆっくりと腰を下ろしはしたものの、今度は、その、腰を下ろした姿勢のままで固まってしまった。しばらくしたら、痛みはひいたが、それ以来、中腰になるとてき面に来るし、ちょっと無理をするとすぐに腰が痛くなるようになった。
情けない。若い頃の俺は、よもや自分が腰痛を経験する日が来るなどとは思いもしなかった。


あとは味覚の変化だ。いや、味覚というより、食物の摂取に関わる変化といった方が正確か。とにかく脂っこいものがたくさん食えなくなった。場合によっては、ポテトチップスを一袋全部食べるのがシンドイ時がある。若い頃は、よもや自分が煮物や煮魚を旨いと感じる時が来るなどとは思いもしなかった。まぁ、これはこれで悪い変化じゃないけれど。あとは、食べる量が減ったことか。
だからといって、今さら若い頃に戻りたいとも思わない。若い頃なんて、思慮も、知識も、経験も、金もないのが普通だ。その代わりに、あるのは、有り余る体力と精力だけ。いや、精力だけはちょっと羨ましい気もするな。持て余しそうな気もするけど。
「はめまら」という言葉がある。これは歳を取るとダメになる順番だ。つまり「歯・目・摩羅」というわけだ。
40を過ぎて、一度歯医者に行った。別に、虫歯が痛んでとか、そういうわけではなくて、歯にやたらと物がはさまるようになったので診てもらったのだが、その時に、若い女医さんに、歳の割に歯茎が丈夫ですね、と感心された。
歯石を取ってもらう時に、女医さんだったので良い思いをした、とかそういうことはあるが、取りあえず、どうでもイイ。要は俺の歯は丈夫だということだ。
目はというと、たしかにド近眼ではあるが、これは若い頃からなので、歳とは関係ない。幸いいまだに老眼の気配もない。
問題は「摩羅」だ。一番最後にダメになるはずのこれが、どうにも。とはいえ、まだ子孫繁栄に多少は貢献できるぐらいの働きはするはずなのだが、おしっこの切れとなるとこれがどうにもねぇ。やれやれ。
と、歳を取ると何だかあちこち悲しいことになるわけだが、せめて「かっこいいジイサン」になるのが俺の目標だ。もしくは、「不死身の寝たきり老人」。

メトセラの子ら
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