妄想省

どうにも最近、自分がちょうどその時考えていることについて、そばにいる赤の他人が同じ話をする、という現象が立て続けに起きている。シンクロニシティといえばシンクロニシティなのか。
すれ違った二人連れがしていた話に勝手に相槌を打ったり、話の続きを勝手にでっち上げるという遊びをやっていたら、どうも最近それが習い性になってしまったらしく、でかい声で相槌を打ちそうになって、ちょっとマズイかなと思っていたところなのだが、何か関係があるのだろうか。
(ちなみに、俺はそれを「横取り話法」と命名した。)


20年ほど前、明け方近くに、やたらと間違い電話がかかってきた時期があった。
いや、間違い電話なのか、嫌がらせなのかは定かではないのだが、受話器をを取っても相手はウンともスンとも言わない。そもそも、向こうに人がいて無言でいるという感じでもないのだ。人の気配は全然感じられず、どこか、すごく遠い虚空からかかってきた電話、そんな感じだった。
朝早くから叩き起こされてはかなわないというのもあったが、何より薄気味が悪くて、しばらくは寝ている間は、電話線を抜いていた。
また、同じ時期に、混線なのか何なのか、通話中に時々ガリガリという雑音が混じることもあった。
(朝松健は「黒衣伝説」の中で、オカルト研究家やUFO研究家のもとで起きた、奇妙な電話妨害の症例をいくつか紹介している。)
ほとぼりが冷めたと思しき頃に、また電話線を繋いだまま寝るようになった。すると、ある日、また明け方に電話が鳴った。何だ、又かよ、まいったな、と思って受話器を取ると、前とは違い、人の声がする。「おっ?」と思って聞いていると、何だか、ちょっと上ずった感じの女の声。間違い電話だろうと思って、そう言おうと思ったら、何だか卑猥なことを一方的に喋り始めた。面白いので、しばらく聞いた後、ちょっと相手でもしてやるかと、こちらもちょっとその気になってきたし、と、喋り始めた途端。「ガチャっ」と。
あ?あああ・・・・?
ナメテんのか?!コロス!!

完本 黒衣伝説
朝松 健

早川書房
2001-05
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