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2004年12月19日

ミューズの微笑みを

5年ほど前に、何だか猛烈に創作活動というものをしてみたくなった時期があって、取りあえずは曲か何かをでっち上げてみるべ、と思ってはみたものの、楽器といっても、ギターがちょっと弾けるぐらいで、特に作曲の能力があるわけでもない。

ハードウェアサンプラーとシーケンサーさえあれば、音のコラージュというか、ミュージック・コンクレート的なものぐらいなら出来るだろうと、機材を買い揃え、街中へ出て行って録音をして来て、特に何を考えるでもなく適当に思いつくままにサンプリングして、切ったり貼ったりしていたら、何となくソレらしい物が出来上がった。
当時、mp3.comという誰でも作品をアップできるサイトがあって、覗いてみるとプロの作品から、アマチュアだけれど玄人裸足の作品から、アマチュアの鼻歌レベルの作品までそれこそ千差万別で、良さそうな気がしたので、ユーザー登録をして、そこにいくつかの作品をアップした。

しばらくして、ちょこちょこと世界中からメールを貰うようになった。特に何も考えず、変に作り込まず、衝動の赴くまま作ったのが良かったのか、不思議な事に評判は良かった
世界は広いと思った。こういう、曲とも言えないような、適当にでっち上げたような切り貼りの作品を、面白がって評価してくれる人たちも世の中にはいるのだと思った。

何年か後に、mp3.comのサイトは無くなった。ちゃんと作品を発表できる場が無くなって、同時に何だかそういう創作活動自体がだんだん億劫になって来た。その後も時々思いついて始めてはみるものの、変に構えてかかると以前のようなものは出来ず、あれこれ時間をかけて出来上がったものは、満足がいくものとは言い難く、ウンザリした。


昨日、渋谷の某所のパーティーに参加した。もう創作活動はしないのかということを聞かれた。そこで、今日、久しぶりに機材を引っ張り出してみる事にした。

目に見える場所に機材をたくさん出しておくというのがあまり好きではないので、普段は仕舞い込んである。録音を始めるにはこれらを引っ張り出さねばならない。終わったら当然、また仕舞わなくてはいけない。この辺が、億劫になる一因でもあるのだが。

しばらく前から、サンプリングとかシンセとかではなく、ギターかウクレレを使ってみたいと思っていたので、もう何年も弾いていなかった弦の錆びたエレクトリック・ギターを引っ張り出して、エフェクターとハードディスク・レコーダーを繋いで試してみる。

一応、もっともらしいものが録れたが、いかにもギターっぽい音のアタック感を消そうとさらにエフェクト処理を重ねていたら、こんどはやたらと分厚いもやっとした感じの音になって、おまけに何度も繰り返し聴いていたものだから、今回もやはり何だかウンザリしてきた。

こういうことは、ちゃんとそういう気分の時にするべきものなのだ。以前、マイケル・ジャクソンが作曲の秘訣について訊かれて、曲は天から降ってくる、というようなことを答えていた。ああ、俺にも曲が天から降ってこないものか。

俺にもミューズの微笑を。



投稿者 gamme : 2004年12月19日 19:21

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